百日咳が増えています:第二報

(2018年3月12日掲載)
2017年11月から百日咳と診断される患者さんが再度急増しています。月に10名から20名程度の頻度で、例年になく多い印象です。
最近3年間では12月から1月、4月から6月に多い印象でしたが、季節性の変動が無くなって通年性に移行している様に感じます。最小年齢は4歳6か月、小学生も多く、患者さんの居住地も三郷市南部から北部まで、都内の方もいらして、個別の発症のようです。
昨年の日本感染症学会のシンポジウムでも提言しましたが、4種混合ワクチンの効果は5歳まで持たないケースが確かにあるようで、追加接種の早期開始が望まれます。特に今年は小学校3.4年生の百日咳患者さんが多く、海外の様にMR2期(5歳から6歳)に合わせた追加接種が効果的だと考えています。
百日咳は、百日咳菌とパラ百日咳菌によって引き起こされる病気ですが、日本では2%程度とされているパラ百日咳菌による百日咳も、一昨年の当院でのデータでは5%、最近の早期診断方法では10%程度認めており、かなり見過ごされている実態が分かってきました。百日咳菌による百日咳はワクチンで予防することが可能ですが、パラ百日咳菌による百日咳は予防方法がなく、今後の流行動向に注意が必要と感じています。
当院では早期診断への取り組みによって、発症1週間程度で診断できる百日咳が増えています。これらの取り組みを、2018年5月31日から6月2日に岡山で開催される予定の第92回日本感染症学会で口演発表することが採択され、「当院における百日咳の早期確定診断への取り組み」を発表します。
余談ですが、今年のインフルエンザは喘息患者さんですら感染後咳嗽が殆どない特徴があったため、インフルエンザ後の咳嗽では溶連菌感染症合併例が多く、なかに数名、百日咳合併の患者さんも見つかっています。
漫然と咳止めだけ内服することは避けたいものです。1週間以上長引く咳、嘔吐を伴うような咳があった場合には、早めの受診をお勧めします。

 

百日咳が増えています

はじめに

小児の百日咳はワクチンによってほぼ沈静化していると考えられていました。一方、ワクチンの効果が減弱した15歳以降の百日咳の増加は以前から指摘されています。
当院は咳が止まらずに遠方からいらっしゃる患者さんも多いのですが、今年も既に15名以上の患者さんが百日咳と診断されています。
ワクチン(4種混合・3種混合)の効果は15歳までは持続すると言われていますが、日本で使用されているワクチンは腫れなどの副作用が少ない分、5年程度で効果が消失する例もあるようで、実際当院でも、最年少の罹患者は5歳のお子様でした。
2016年の第56回日本呼吸器学会総会で発表した百日咳に関する報告内容を以下にお示しします。

対象・方法

対象は平成26年4月から平成27年8月までの期間で当院においてEIA法によりPT-IgG≧100EU/ml、又はペア血清で2倍以上の上昇を認めた28名。

結果

女性/男性=17/11、
年齢別では8歳以上10歳未満;5名、
10歳以上15歳未満;5名、
15歳以上20歳未満;2名、
20歳以上;16名(36歳~71歳)。

おわりに

咳が1週間以上続く場合には早期に医療機関の受診をお勧めします。が、残念なことに施設によっては「カゼ」と判断して漫然と鎮咳剤を出すところも多いので、薬効を認めないときには他院を訪ねてみるのも良いかもしれません。家族内、職場内に咳をしている方が他にもいらっしゃる場合には早期の受診をお勧めします。百日咳は1歳未満のお子様にはいまだに命の脅威となる疾患であり、特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭ではご注意頂きたく思っています。