目次
- はじめに
- 2017年11月から百日咳と診断される患者さんが再度急増しています
- 百日咳の早期診断・早期治療についての当院の取り組み
- この一年間で400名を超える患者さんを早期診断し早期治療に導いています
- 当院の臨床経験で判明したこと
- リアル百日咳
- 百日咳の早期診断方法
- 咳が1週間以上続く場合、それは「かぜ」ではありません
- 百日咳に関するサマリー
- 日本呼吸器学会から「百日咳診断基準フローチャート」が発表されました
- 当院における百日咳に対する漢方薬治療と早期診断法への取り組みが論文化されました
- 2020年10月から4歳の百日咳罹患者が急増しています
- 新型コロナウィルス感染症に隠れて百日咳が流行しています
- 例年4月から6月は全国的に百日咳が多い時期と言われています
- 2024年5月に米国のサンディエゴで開催される、ATS(全米胸部疾患学会;アメリカの呼吸器学会)において、当院の百日咳研究の2演題が採択されました
百日咳が増えています
はじめに
小児の百日咳はワクチンによってほぼ沈静化していると考えられていました。一方、ワクチンの効果が減弱した15歳以降の百日咳の増加は以前から指摘されています。
当院は咳が止まらずに遠方からいらっしゃる患者さんも多いのですが、今年も既に15名以上の患者さんが百日咳と診断されています。
ワクチン(4種混合・3種混合)の効果は15歳までは持続すると言われていますが、日本で使用されているワクチンは腫れなどの副作用が少ない分、5年程度で効果が消失する例もあるようで、実際当院でも、最年少の罹患者は5歳のお子様でした。
2016年の第56回日本呼吸器学会総会で発表した百日咳に関する報告内容を以下にお示しします。
対象・方法
対象は平成26年4月から平成27年8月までの期間で当院においてEIA法によりPT-IgG≧100EU/ml、又はペア血清で2倍以上の上昇を認めた28名。
結果
女性/男性=17/11、
年齢別では8歳以上10歳未満;5名、
10歳以上15歳未満;5名、
15歳以上20歳未満;2名、
20歳以上;16名(36歳~71歳)。
おわりに
咳が1週間以上続く場合には早期に医療機関の受診をお勧めします。が、残念なことに施設によっては「カゼ」と判断して漫然と鎮咳剤を出すところも多いので、薬効を認めないときには他院を訪ねてみるのも良いかもしれません。家族内、職場内に咳をしている方が他にもいらっしゃる場合には早期の受診をお勧めします。百日咳は1歳未満のお子様にはいまだに命の脅威となる疾患であり、特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭ではご注意頂きたく思っています。