2017年11月から百日咳と診断される患者さんが再度急増しています。月に10名から20名程度の頻度で、例年になく多い印象です。
最近3年間では12月から1月、4月から6月に多い印象でしたが、季節性の変動が無くなって通年性に移行している様に感じます。最小年齢は4歳6か月、小学生も多く、患者さんの居住地も三郷市南部から北部まで、都内の方もいらして、個別の発症のようです。
昨年の日本感染症学会のシンポジウムでも提言しましたが、4種混合ワクチンの効果は5歳まで持たないケースが確かにあるようで、追加接種の早期開始が望まれます。特に今年は小学校3.4年生の百日咳患者さんが多く、海外の様にMR2期(5歳から6歳)に合わせた追加接種が効果的だと考えています。
百日咳は、百日咳菌とパラ百日咳菌によって引き起こされる病気ですが、日本では2%程度とされているパラ百日咳菌による百日咳も、一昨年の当院でのデータでは5%、最近の早期診断方法では10%程度認めており、かなり見過ごされている実態が分かってきました。百日咳菌による百日咳はワクチンで予防することが可能ですが、パラ百日咳菌による百日咳は予防方法がなく、今後の流行動向に注意が必要と感じています。
当院では早期診断への取り組みによって、発症1週間程度で診断できる百日咳が増えています。これらの取り組みを、2018年5月31日から6月2日に岡山で開催される予定の第92回日本感染症学会で口演発表することが採択され、「当院における百日咳の早期確定診断への取り組み」を発表します。
余談ですが、今年のインフルエンザは喘息患者さんですら感染後咳嗽が殆どない特徴があったため、インフルエンザ後の咳嗽では溶連菌感染症合併例が多く、なかに数名、百日咳合併の患者さんも見つかっています。
漫然と咳止めだけ内服することは避けたいものです。1週間以上長引く咳、嘔吐を伴うような咳があった場合には、早めの受診をお勧めします。